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2020.08.24(最終更新日:2020.08.24

クリニックの収益向上施策(単価向上策)

クリニックの収益向上施策のイメージ

新型コロナウイルスの国内感染状況は一旦下火になったものの、本稿執筆時点(令和2年7月下旬)に、東京で連日200人超えが報告されるなど、いまだ鎮静化には相当な期間を要する段階であることが推測されます。当社支援先クリニックの来院患者数も4月頃に比べると徐々に戻ってきている状況ですが、例年と同等の水準にはなかなか戻りきらない施設も相当数あります。
今回は、患者数の増加に限度がある中での収益向上施策として「単価向上」の事例を紹介します。

1.外来収益構造の基本

はじめにご承知のこととは思いますが、外来診療所の収益構造について確認しておきます。図表1「外来収益構造ツリー」の通り、「外来売上=患者数×患者単価」で大きく示されます。コロナ影響下においては初診・再診含めて「患者数」が減少して頭打ちになっていることが主な課題であるため、収益を向上させるためにはもう一方の要素である「単価」をいかに上げるかに取り組む必要があります。単価の構成要素として「初再診料」「管理料」等があります。

図表1 外来収益構造ツリー

外来収益構造ツリー

売上は「患者数×患者単価」。また患者数は初診と再診に、単価は診療行為に分解して捉える。

診療科によっても平均単価と構成要素の比重が異なりますので(図表2)、一概に注力すべきポイントを定めるのは難しいですが、自院の強みや収益構造を理解した上で取り組める内容を検討し実践していくことが必要です。

図表2 診療科別の外来患者単価

診療科 医療機関数 日数 点数(千点) 平均単価(点)
内科 39,685 16,274,548 13,223,165 813
小児科 5,189 4,107,787 2,420,007 589
外科 3,506 1,406,796 1,081,006 768
整形外科 7,281 5,894,123 2,772,958 470
皮膚科 4,464 4,130,461 1,633,111 395
産婦人科 3,387 1,902,447 1,212,095 637
眼科 6,997 3,322,411 2,186,027 658
耳鼻いんこう科 5,060 4,695,270 2,273,139 484
その他 10,071 4,750,817 3,724,184 784

出所:社会保険診療報酬支払基金「統計月報(令和2年1月診療分)」より抜粋・試算。
(注:院内調剤と院外調剤の両方が入っている)

2.単価アップ事例

当社が支援している東京都内の内科小児科クリニックの事例をご紹介します。当該クリニックは複数医師体制で通常時は1日患者数が年間平均180名(うち小児科が20~30%)に達する規模でしたが、新型コロナ影響が顕著になった3月終盤から患者数が減り始め、4月は前年同月比60%を切るまでに落ち込みました。

7月に入り、徐々に患者数は回復してきたものの、前年度比80%ほどにとどまっている状況です。特に小児科の患者減少と減収が顕著で、4月などは1日の小児科受診者がほんの2,3名という日もありました。また、単価アップ事例とは直接関係がありませんが、感染リスクの不安感を低減し、安心して受診できるように「発熱外来」として一般外来とは受付時間を分ける等の対策も講じてきました。

(1)処方日数の短縮(初再診料)

手始めとして、60日や90日処方を行っていた比較的状態が安定している定期受診者の処方日数を30日等に短縮することを試みました。当然頻繁に来院することに不安を抱えている患者さんや非常に安定している患者さんに対しては、無理してまで日数を絞るのは避け、医師の目で患者さんを個々に判断し、頻回に顔を見て話をしたほうがよい方については説明した上で1か月おきの受診を促すようにしました。
また、この際「特定疾患療養管理料」については月2回まで算定可能なため、30日処方であっても次回来院タイミングを少し早めるように予約の取り方にも注意しました。

(2)超音波検査増加(検査料)

新型コロナ影響が出る前の外来が多忙な時期は、超音波検査オーダー自体も漏れがちで定期スクリーニングが不十分だったこともあり、患者減の時期に定期検査が滞りがちな患者さんを洗い出して積極的にオーダーするようにしました。また初診患者についても気になる症状については意図的に検査に回すようにした結果、超音波検査数が前年同時期の2倍ほどになり、単価アップに大きなインパクトとなりました。
当該クリニックの場合は、臨床検査技師がほぼ毎日勤務しているため、オーダーも出しやすく検査数を増やすことが比較的容易でした。医師自身がエコーを実施している場合はエコーの時間にほかの診察を止める必要があるため、増やし方は全体のバランスを見て調整する必要があると思います。

(3)診療情報提供書の増加(管理料)

いわゆる紹介状に関しても1件あたり250点となるため、積極的な紹介を心がけています。エコー検査同様に平時の外来ではあまり意識していなかった紹介(生活習慣病疾患の方の眼科受診などが中心)をこの機に見直して、専門医療機関でも診てもらうように積極的に促すようにしました。

(4)継続的な状況把握(数字のモニタリング)

上記の施策をはじめとし、算定を上げるための細かい取り組みを心がけて実行していますが、成果が具体的にどのように数字に表れているかのパフォーマンスを客観的・継続的に把握(モニタリング)するプロセスも重視しました。具体的には、週ごとに医師ごとの患者数や平均単価、検査オーダー数、紹介状数などの観察できる指標を出して定期的にウォッチするようにしました。(図表3) モニタリングの意義は、「まず数字で見えるようにする」「定期的に見る」「不足部分を改めて意識し実行する」というサイクルを強制的に回す仕組みを作ることで、危機感と意識が時間とともに下がっていくのを防ぐことだと考えています。

このほかにも「自費診療として新規に取り組めることを探して始める」などもありますが、自院の理念や診療方針との整合性に気を付けないと「取ってつけた感」「お金儲け」というイメージになってしまうことには注意した上で何を行うか判断することが必要です。

図表3 取り組みモニタリング事例

時間あたり患者数 保険診療単価
(投薬以外)
のべ受診者数 エコー検査
オーダー数
紹介状数
昨年実績 目標値
前年80%
今週 昨年同月 今週 合計
(保険)
対面 オン
ライン・
電話
合計 腹部 胸部 その他
5月11日週 8.3 5.8 5.1 5,000 5,616 196
(190)
174 22 7 3 3 1 6
5月18日週 8.3 5.8 5.4 5,000 5,685 207
(201)
185 22 17 7 3 7 6
5月25日週 8.3 5.8 5.7 5,000 6,390 218
(208)
197 21 15 9 3 3 7
6月1日週 8.1 5.5 5.3 4,722 6,369 205
(190)
190 15 23 5 6 12 7
6月8日週 8.1 5.5 5.8 4,722 6,155 222
(197)
203 19 26 6 8 12 15
6月15日週 8.1 5.5 6.2 4,722 6,297 238
(224)
231 7 47 11 7 29 22
6月22日週 8.1 5.5 6.0 4,722 6,228 231
(218)
216 15 34 9 4 21 21
6月29日週 8.1 5.5 5.9 4,722 6,511 228
(209)
222 6 36 10 7 19 35
7月6日週 8.3 5.6 5.7 4,911 5,864 220
(207)
200 20 42 8 3 31 20
7月13日週 8.3 5.6 6.6 4,911 6,364 254
(231)
231 23 58 5 7 46 18
平均増加率 2.9% 1.4% 26.5% 13.0%

特定医師(院長)の週次モニタリング状況

図表3 取り組みモニタリング事例

5月11日週
時間あたり患者数 昨年実績 8.3
目標値
前年80%
5.8
今週 5.1
保険診療単価(投薬以外) 昨年同月 5,000
今週 5,616
のべ受診者数 合計
(保険)
196
(190)
対面 174
オンライン・
電話
22
エコー検査オーダー数 合計 7
腹部 3
胸部 3
その他 1
紹介状数 6
5月18日週
時間あたり患者数 昨年実績 8.3
目標値
前年80%
5.8
今週 5.4
保険診療単価(投薬以外) 昨年同月 5,000
今週 5,685
のべ受診者数 合計
(保険)
207
(201)
対面 185
オンライン・
電話
22
エコー検査オーダー数 合計 17
腹部 7
胸部 3
その他 7
紹介状数 6
5月25日週
時間あたり患者数 昨年実績 8.3
目標値
前年80%
5.8
今週 5.7
保険診療単価(投薬以外) 昨年同月 5,000
今週 6,390
のべ受診者数 合計
(保険)
218
(208)
対面 197
オンライン・
電話
21
エコー検査オーダー数 合計 15
腹部 9
胸部 3
その他 3
紹介状数 7
6月1日週
時間あたり患者数 昨年実績 8.1
目標値
前年80%
5.5
今週 5.3
保険診療単価(投薬以外) 昨年同月 4,722
今週 6,369
のべ受診者数 合計
(保険)
205
(190)
対面 190
オンライン・
電話
15
エコー検査オーダー数 合計 23
腹部 5
胸部 6
その他 12
紹介状数 7
6月8日週
時間あたり患者数 昨年実績 8.1
目標値
前年80%
5.5
今週 5.8
保険診療単価(投薬以外) 昨年同月 4,722
今週 6,155
のべ受診者数 合計
(保険)
222
(197)
対面 203
オンライン・
電話
19
エコー検査オーダー数 合計 26
腹部 6
胸部 8
その他 12
紹介状数 15
6月15日週
時間あたり患者数 昨年実績 8.1
目標値
前年80%
5.5
今週 6.2
保険診療単価(投薬以外) 昨年同月 4,722
今週 6,297
のべ受診者数 合計
(保険)
238
(224)
対面 231
オンライン・
電話
7
エコー検査オーダー数 合計 47
腹部 11
胸部 7
その他 29
紹介状数 22
6月22日週
時間あたり患者数 昨年実績 8.1
目標値
前年80%
5.5
今週 6.0
保険診療単価(投薬以外) 昨年同月 4,722
今週 6,228
のべ受診者数 合計
(保険)
231
(218)
対面 216
オンライン・
電話
15
エコー検査オーダー数 合計 34
腹部 9
胸部 4
その他 21
紹介状数 21
6月29日週
時間あたり患者数 昨年実績 8.1
目標値
前年80%
5.5
今週 5.9
保険診療単価(投薬以外) 昨年同月 4,722
今週 6,511
のべ受診者数 合計
(保険)
228
(209)
対面 222
オンライン・
電話
6
エコー検査オーダー数 合計 36
腹部 10
胸部 7
その他 19
紹介状数 35
7月6日週
時間あたり患者数 昨年実績 8.3
目標値
前年80%
5.6
今週 5.7
保険診療単価(投薬以外) 昨年同月 4,911
今週 5,864
のべ受診者数 合計
(保険)
220
(207)
対面 200
オンライン・
電話
20
エコー検査オーダー数 合計 42
腹部 8
胸部 3
その他 31
紹介状数 20
7月13日週
時間あたり患者数 昨年実績 8.3
目標値
前年80%
5.6
今週 6.6
保険診療単価(投薬以外) 昨年同月 4,911
今週 6,364
のべ受診者数 合計
(保険)
254
(231)
対面 231
オンライン・
電話
23
エコー検査オーダー数 合計 58
腹部 5
胸部 7
その他 46
紹介状数 18
平均増加率
時間あたり患者数 今週 2.9%
保険診療単価(投薬以外) 今週 1.4%
エコー検査オーダー数 合計 26.5%
紹介状数 13.0%

特定医師(院長)の週次モニタリング状況

情報提供元:株式会社メディヴァ
コンサルティング事業部
マネージャー越路公雄(クリニック事業担当)

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