• ホーム
  • クリニックにおけるコスト削減の意義及び方法について
2021.08.31(最終更新日:2021.08.31

クリニックにおけるコスト削減の意義及び方法について

コスト削減

1.クリニックにおけるコスト削減の始め方

(ア)コロナの影響について
2020年より世界的に大流行している新型コロナウイルス感染症の拡大は、日本の診療所経営にも大きな影響を及ぼしています。とりわけ風邪などの急性疾患の診療をしていた一般内科、耳鼻咽喉科、小児科に関しては未だ患者減少にあえぎ深刻な経営不振に陥っているところも存在しています。そんな中で今回は、コロナ禍にでも取り組めるコスト削減の意義及びその方法についてご紹介したいと思います。

医者

(イ)固定費/変動費とは
コスト削減に取り組む前に、押さえておきたいのが、固定費と変動費の違いについてです。固定費とは人件費やテナント賃料のように売上の増減に関係なく発生する費用のことを指します。一方で変動費は医薬品費や検査委託費のように売上の増減によって変動する費用です。診療所は人件費の割合が高く、院外処方のケースでは医薬品費もほとんど発生しないため、固定費型のビジネスと言われています。つまり売上が固定費の水準を超えると加速度的に利益を生み出せる構造となっている一方で、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により売上が大きく減少した場合には、一定の費用が売上にかかわらず発生するために赤字に陥りやすいという特徴があります。この点を踏まえ、診療所においては、まずは固定費を少しでも削減することにより売上の減少が起きても耐えられるクリニックをつくること、更に変動費を見直すことにより少しでも利益率を高めることが重要となります。

2.実例を踏まえたコスト削減テクニック

(ア)コロナの影響について
①人件費
ご存知のように職員は簡単には退職させられませんし賞与を削減することは一筋縄にはいきません。職員のモチベーションにも大きく影響を及ぼすために慎重に行う必要があります。ここでいう人件費の削減は、パート職員のシフト調整をすることにより固定費を変動費化させることです。意外に感じられるかもしれませんが、閑散期でも繁忙期に合わせたシフトになっていることが多く、このようなケースによくあるのは繁忙期に人手が欲しいため追加で職員の採用をしてしまうクリニックです。都内の内科系のAクリニックでは、医療事務を繁忙期は常時3名配置していますが、患者数が少なくなる閑散期も同様の配置をしていました。そこでパート職員に納得頂いた上で、閑散期にはシフトを少なくし、繁忙期に多くシフトに入ってもらうことでパート職員の人件費を変動費化させコントロールをするようにしました。その結果、閑散期には人件費を抑制することができ、繁忙期には追加で職員を採用することなく職員体制を厚くすることができました。

②保守費用
保守費用については基本的に開業時から契約内容は変わっていないことが多いため見直すことが重要です。最も使用している機器については手厚い保守契約に結び直す一方で、使用頻度が低い機器については保守契約解除を含めた姿勢で見直すことが重要です。また最近では、MRIやCTの高額医療機器等は医療機器メーカーの部品交換を含むフルメンテナンス契約に入るのではなく、年に1,2回の定期保守契約に切り替えて、故障時は、修理費用を保険金でカバーする取り組みを行っている保険会社の活用も増えてきています。機器にもよりますが、概ねフルメンテナンス契約に比べて10%~20%程度の費用削減を見込めます。

在宅自己注射指導管理料

③広告宣伝費
最近ではホームページをはじめとするWeb媒体に広告宣伝費として多く支出されていると思いますが、開業時に設置した駅看板、電柱看板、野立て看板はどうでしょうか。先程事例としてあげたAクリニックでは駅看板に5万円/月支払っていましたが、開業時のまま何年も放置されていました。そのため情報の鮮度も古く、既に診療時間や診療内容などが変わったものまでありましたので即刻撤去をしました。周辺の駅看板や電柱看板でも古い情報のままアップデートされていないものも多くあるため、意外にも存在自体を忘れられているケースが多いのではないでしょうか。

ホームページ

(イ)変動費の削減事例

①医薬品費
院外処方をメインとしているクリニックでは、医薬品費ではそこまで削減効果は期待できませんが、薬価差は概ね13~16%程度を目安にしています。

薬

②検査委託費
血液検査の外注委託は、培養や細胞診等の使用頻度が低いものはある程度の高値でも仕方ありませんが、それ以外ですと大きな削減効果を期待できる費用です。検査会社の開業時の提案ではよく、開業初年度は診療報酬の5~10%程度、次年度は30~50%程度になっている外注費ですが、いつのまにか60~80%程度になっていることがあります。Aクリニックでは、外注費が診療報酬の50%程度の契約でしたが、他社との相見積りを取って検査会社で競って頂いた結果、35%まで下げてもらうことができました。検査費用に毎月30万円/月支払っていたのが、21万円/月まで下がり、年間で108万円のコスト削減をすることができました。あくまでも目安ですが頻度の高い検査については30~40%を目指して交渉しています。また最近では新型コロナウイルス感染症のPCR検査の検査委託をしているクリニックも増えていますが、この外注費は額が大きいため交渉して削減させることで経営上、大きなインパクトをもたらしてくれます。

3.おわりに

今回紹介しましたコスト削減の取り組み例はあくまでも一例であり、他にも様々な方法があるかと思います。今日のような感染症の拡大などの影響で経営が不安定な時期にのみコスト削減を考えるのではなく、日々、意識して取り組むことで、売上が減少しても耐えられるクリニックにしておくことが重要です。

情報提供元:株式会社メディヴァ コンサルティング事業部 浅野悠

当サイトは、株式会社EMシステムズが管理し、情報を編集・提供しています。提供している情報は公開時点の情報です。

投稿等の内容及び提供した情報に関して、その正確性・速報性・合法性・完全性・有用性など、会員に対していかなる保証もいたしません。

自身の判断でご利用下さい。