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2021.04.12(最終更新日:2021.04.12

外来中心クリニックの経営改善策
~訪問系サービスへの事業展開~

医師イメージ

新型コロナウィルス流行下においては、患者の受診控え、クリニック側の感染防止策としての処方期間延長等が影響し、外来受診患者を増加させるのは難しい状況である。
持っている資源を有効活用し収益確保のためにも、外来以外の領域(健診、訪問等)に目を向けてみてはどうだろうか。

昨年からの新型コロナウィルス流行により、外来中心で事業を行っているクリニックでは減ってしまった患者数が回復しないという苦難が続いています。その主な原因は、患者が感染を心配し受診を控えることや、クリニック側の患者への配慮として処方期間を延ばすこと、感染防止対策の結果、風邪や胃腸炎・季節性インフルエンザ等の感染症罹患自体が大幅に減ったことによるものです。
このような状況の中、減ってしまった外来受診患者数を元に戻す方策を考えて実行することは難しいため、当社では別の事業領域に目を向けて経営改善を目指すことを提案しています。外来以外の事業領域というと、主に健診や訪問系サービスがありますが、今回は新型コロナウィルス流行下でも市場が拡大している訪問系サービスでの経営改善に取り組んだ事例をご紹介します。

1.外来中心クリニックで開始可能な訪問系サービス

診療

医師中心で新たな事業を考えていくならば「訪問診療」、看護師中心で考えていくならば「訪問看護」があります。

サービス名 必要な職種 開設届出 報酬請求
訪問診療 医師、報酬請求業務ができるスタッフ 不要 患者によって異なるが、医療保険と介護保険の請求を行える必要がある
訪問看護 看護師、報酬請求業務ができるスタッフ みなし訪問看護は不要、ステーションは必要

しかし、経営改善のためとはいえ、今まで経験がない事業を始めるのは、誰でも不安だと思います。不安を解消するための具体的な事業開始方法については、下段3でご提示します。

2.外来中心クリニックの経営資源とは

クリニックイメージ

訪問診療や訪問看護開始を検討するにあたり、活用できる経営資源は以下の3つです。

①人材

標榜している診療科によりますが、新型コロナウィルス流行前1日あたりの外来患者数が約50人のクリニックでは、医師(院長)1名、看護師2名、医療事務2名ほどが勤務していることが一般的です。このようなクリニックにおいて雇用を維持して事業を継続していくためには、院長を含めて、スタッフ全員を「コスト=人件費がかさむ」と考えるのではなく、「資産=経営資源をどう生かすか」と発想を変えることが重要です。もしもスタッフ数が足りない場合は、訪問系サービスを展開することで見込まれる収益から逆算して、利益創出できる範囲で、非常勤スタッフを雇用することも検討の余地があります。

②患者情報

多くのクリニックでは、高齢患者が受診していると思います。その中に、介護保険証を持っている方、クリニックに通うのが難しくなってきた方、自宅での健康管理が必要な方などがいないか確認します。まずは、自院の患者から訪問診療や訪問看護を開始し、その後、徐々に院外から紹介が得られるよう活動していくのがよいでしょう。

③院外ネットワーク

退院患者を紹介してくれる地域の病院や、ケアマネジャー、訪問看護師と繋がりがあるクリニックが多いと思います。それらの病院・事業所は、訪問系サービス展開には必要な連携先です。患者を紹介してもらったり、患者の急変時等の緊急対応に協力してもらったりすることになります。

3.訪問診療・訪問看護開始の具体的な手順

①訪問可能な時間帯を決める

診療時間における各時間帯の来院患者数を1週間調査し、(下図:調査票例)患者数が極端に少ない曜日・時間帯があれば、その曜日・時間帯に訪問診療か訪問看護を行うようにします。訪問診療を行う場合は、外来の診療時間変更を患者に周知する必要がありますが、訪問看護の場合は、医師はクリニックで外来診療を続けることができるため、外来診療時間の変更は不要です。

調査票例

②基準や制度を理解し、対象患者を見つける

訪問診療や訪問看護に関する基準や制度について、厚生労働省のサイト、関連書籍が多く販売されていますので、確認してみてください。クリニックでの開始の場合、訪問診療とみなし訪問看護であれば、開設時の届出は不要で、特別な施設基準はありません。基準や制度を理解した上で、自院かかりつけの患者の中から訪問診療か訪問看護の対象者を少なくとも1名を見つけてください。

③業務の具体的なイメージを持つ

研修のため、訪問診療や訪問看護を行っている事業所に見学等を依頼することが最も効果的です。難しいようであれば、オンライン研修や医師会、看護協会などでの研修もありますので、インターネット等で探してみることを提案します。訪問サービス開始を提案しますと、必ず「24時間の緊急時対応が必要ではないか」との質問をいただきますが、他の医療機関や24時間対応の訪問看護ステーションとの連携で対応することも可能ですので、自院に適した体制を検討してみてください。

④開始準備(書類、請求、必要備品等)を行う

・書類

訪問サービス開始時には患者との同意書や契約書等の書類が必要になります。

・請求

対象患者によりますが、介護保険の請求業務が発生する場合が多くあります。最初は慣れない介護保険請求に不安を感じられるかもしれませんが、医療保険よりも算定構造がシンプルなので、慣れれば問題なく請求が行えると思います。対象患者数が増えてきたら、介護保険請求ソフト導入を検討することをお勧めします。

・必要備品

必要な医療衛生資材を入れた訪問鞄、訪問用車両(購入するならば中古軽自動車で十分です。都市部で近隣を訪問するような場合では自転車も可。)、携帯電話を準備します。

上記①~④の手順で、訪問系サービスを始めることができたら、その後に院外の患者を受け入れる体制を作り、地域の病院やケアマネジャーにPRをしていきましょう。これで、減ってしまった外来受診患者の代わりに、訪問系サービスの患者を増やしていくことに繋がります。

情報提供元:株式会社メディヴァ コンサルティング事業部
シニアコンサルタント 入川文

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