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2021.06.02(最終更新日:2021.06.02

経営計画・状況を数字で把握する
-1.損益分岐点を把握する-

電子カルテ運用イメージ

この記事では「開業計画にあたってどのような数字を意識すべきか分からない」、「日々診療しているが経営数字をどう把握すればよいか、いまいち分からない」先生方に向けて、経営計画・状況を数字で把握する基本的なポイントついて述べていきたいと思います。

1.損益分岐点を把握する

「1日の患者数は最低何人が目安になるのか?」を明確にすることが計画・状況把握の基本です。そのために「損益分岐点」を把握することが重要になります。損益分岐点とは、文字どおり費用額(損)と売上額(益)が一致して「プラスマイナスゼロ」となるポイントのことです。 これは以下のような考え方で把握します。

(1)費用の把握(固定費と変動費に分類)

損益分岐点を把握するにあたって、費用を把握するために、「変動費」と「固定費」に区別します。
「変動費」とは売上に対しての割合がほぼ一定で、売上の増減に合わせて金額が変動する性質の費用のことです。医薬品費や外注検査委託費がこれに該当します。「今月は検査件数が増えたので売上も少し上がるはず。その代わり検査委託費も少し増えるかな」、という状況は感覚的にも理解できると思います。
もう一方の「固定費」とは売上の増減に関わらず毎月一定額が発生する費用です。常勤職員の給与、家賃、機器のリース料などが代表的で、患者数や売上の多寡にかかわらず固定額を支払う必要があるため固定費と呼びます。
図表1は、収益と費用を表した収支表の例です。
この例では、変動費である「医薬品」「医療材料」「外注検査委託費」の収益に占める割合(以下「変動比率」)は合計約12.7%で、売上の増減に伴って支出額が変動します。
一方の固定費は、売上の増減に関わらず毎月合計額420万円が発生することになります。

収支表の例

(2)損益分岐点となる売上(患者数)の把握

変動比率と固定費額が分かれば、損益分岐点は「固定費 ÷(1-変動比率)」で算出できます。「420万 ÷ (1-0.127)」の結果である約481万円が損益分岐点の売上となります。図表2の線グラフで、費用と収益が交わっているのが損益分岐点です。つまり、月あたり481万円の売上を達成すれば費用額と均衡するため、それよりも売り上げを増加させていくことで利益に繋がるということになります。
しかし、「毎月500万円を売り上げるぞ」と意気込んでも、売上額そのものは診療の結果としての数字であり、金額を直接的な目標として日々の診療を実施していくのは、行動し辛く現実的ではありません。

損益分岐点

そこで、次のステップでは売上を「患者単価×患者数」に分解して把握します。最低限必要な「患者数」を明確に把握できれば、より具体的な経営努力をしやすくなるからです。
もう一方の「患者単価」は診療科、扱う疾患の内容、院内調剤の有無などによって医療機関ごとにかなり異なりますが、「売上÷のべ患者数」で一定期間の平均値を算出することができるので、数か月分(可能であれば季節による変動を吸収するために12か月分)の平均を求めるとよいでしょう。また自分で計算しなくても患者単価を算出しやすくしてくれるレセコンも多いです。
ここでは患者単価を6,500円と仮定すると、損益分岐点に到達するために必要な1日あたり患者数の算出式は「481万円 ÷ 6,500円 ÷ 月間診療日数(20日と仮定)」となり、計算の結果、「37人」の受診が最低限の目標ということになります。(分かりやすくするために便宜上、保険診療と自由診療を分けずに計算しています。) まずはこの1日37人を最低限クリアする人数として認識すること、そしてこの水準を日々クリアしていく努力をすることが重要です。
なお、開業前の場合は単価算出ができないため統計データを使う必要があります。主要な診療科ごとの一般的な保険診療単価は、社会保険診療報酬支払基金の統計月報で全国値が公表されているので、参考にしてみるとよいでしょう。(図表3)

主要な診療科ごとの一般的な保険診療単価

情報提供元:株式会社メディヴァ コンサルティング事業部
マネージャー 越路公雄(クリニック事業担当)

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