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2021.02.10(最終更新日:2021.02.10

クリニック集患の考え方と方策② 試行と継続

医師イメージ

前回の記事では、マーケティングの最初のステップである「認知」のさせ方について説明しました。(全体の流れは、こちらの記事と再掲の<図1>をご覧ください。)今回は、認知の次の段階である「試行」と「継続」についてです。

<図1>医療機関のマーケティング

認知の流れ

1.「お試し」を促す

施策例をご紹介するにあたって、前提として認識しておきたいことは、医療機関の場合、一般の飲食店や小売店と異なり、「行かなくて済むならば行きたくない」「入りづらい」ハードルの高い存在であることです。そういった心理的な抵抗を和らげて、機会が発生したときに「行ってみようかな」という気にさせるような施策を打ち出していくことが必要です。

(1)「顔が見える」クリニック

最初の「行ってみようかな」という気持ちを起こさせるための施策例です。
当社の創業当初に開業から携わったクリニックは、「こどもから大人まで、家族全員がかかりつけとして診てもらえる」をコンセプトとしたファミリークリニックですが、実際にアットホームさを出すために広めの待合室を当初から設計し、中央に大きなテーブルを置いてダイニングテーブルのような雰囲気を出すことで家族だれでもかかれるクリニックということを強調しました。<図2>
また、集患に悩むクリニックにおいては、季節に応じた周辺住民向けのセミナーの定期開催を検討しました。各回に参加する人数はそれほど多いものではありませんが、院内スペースで開催することで実際に潜在患者の人々にクリニックに足を運んでもらうきっかけになったこと、また何度もセミナーを開催することで「患者に対してオープンで親しみやすい先生」という認知が溜まり、紹介も通じて患者が集まり始めた事例もあります。
これらが院内の雰囲気や、どんな院長なのか、「顔が見える」ようにすることでお試しの動機付けを促す施策例です。

<図2>院内の雰囲気例(アットホーム)

院内の雰囲気例

(2)自費診療の価格・メニュー戦略

インフルエンザ予防接種など自費ワクチンの価格やメニューで他院に差をつけるのも戦略の一つです。例えばインフルエンザ予防接種は多くのクリニックで行っていますが、「近くでどのクリニックが一番安価に受けられるか」を調べている住民も意外に多いようです。そこで、近隣競合の予防接種価格を調査しておき、相対的に安い価格を設定することで、「初めてだけど行ってみようかな」という気にさせる作戦です。もちろんその際に、待ち時間の短さであったり、医師やスタッフの接遇でもう一度来たいと思わせるような品質も大事です。

同様に自費での健康診断も他院より同レベルのメニュー価格を少し下げたり、他院では無いような健診メニューを謳うことが来院のきっかけになることもあります。
ただし価格戦略の注意点は、一度低く設定した価格を後で上げるのがなかなか難しい点です。仕入れ値とのバランスを計算して最低限必要な利益が確保できる水準に設定したり、来院のきっかけ作りと割り切ってしまい、保険診療のサービス充実で継続化を狙うことを重視する、等の判断は必要です。

2.「継続」のポイント

次のステップは「継続」です。継続的に来院してくださる方々こそが、クリニック経営上、重要な基盤となる患者さんとなりますので、いかに継続してもらえるようにするかは非常に重要です。
継続を促すには「認知」「試行」段階で工夫したWebサイト等の工夫だけではなく、院内の設備・スタッフの接遇・医師の対応など、受付開始から会計終了までのサービス全体で患者さんをお迎えする意識が必要です。どれほど見映えのするWebサイトを用意したとしても、受付スタッフの対応が悪かったり、必要以上に長時間待たされたり、そもそも医師の対応に不満・不信を感じたりすると、継続患者さんはなかなか増えないものです。

(1)待ち時間対策

どのクリニックにお伺いしても必ずと言ってよいほど課題としてお聞きするのは待ち時間です。いかに早く全体のプロセスを回すのかは勿論大事なのですが、限られた医師数、スタッフ、設備でのスピードアップには限度があります。そこで、待ち時間自体をできるだけ快適に過ごせるようにする、という発想と工夫も必要となります。「BGMを流す」、「雑誌や本、漫画の充実」、「院内フリーWifi導入」、「(小児科など小児が多い場合)キッズスペースやおもちゃ」などが比較的すぐ取り組める待ち時間対策サービスです。ただ、雑誌や本についてはいつまでも古く、汚れたものが置いてあると印象は良くないので、雑誌などは何か月も前のものは置かずにタイムリーに取り換えていくことが必要です。(一方で、コロナ環境下においては不特定多数の人が手に触れるものを一時撤去する判断も必要です。) 順番表示システムの導入も有効な手段になり得ます。待ち時間そのものより、「どの位待てばよいのか分からない」という不安が人をイライラさせる大きな原因になることも多く、仮に待ち時間が多少長くても「あと何人待ちなのか」ということが分かるようになればストレスを軽減することができます。<図3>システムによっては待ち時間に外出した場合、順番が近くなるとメールや電話で自動呼び出しが可能なものもあるので、自院の運用に合ったサービスを幾つか調べてみるのがよいでしょう。ただ、常時患者さんが少ない状態で待ち順番の表示を導入したのに会計待ちなどで長く待たされるような場合には、「なぜここは患者が少ないのに待たされるのか」と逆に不満に繋がるリスクがあることには注意が必要です。

<図3>待ち順番表示
様々な製品があり、すでに多くのクリニックで自院の用途に合わせて利用されている。

待ち順番表示

(2)接遇

受付スタッフ、看護師、医師、それぞれの立場で患者さんの目や顔色を見て丁寧に接することが基本となります。受付であれば「お待たせして申し訳ありません」と待ち時間途中での一言、高齢の患者さんであれば、ひと言ふた言の日常会話もクリニックへの親密度を上げることに繋がります。看護師であれば事前問診だけでなく、診察後も患者さんの様子を見て「何かわかりにくいことはありませんでしたか?」等、医師の説明をフォローすることで患者さんの理解度、満足度の向上に貢献できます。

医師の対応は言うまでもなく最も重要です。言葉遣いや身だしなみなど一つ一つを患者さんは注視しているものです。当社ご支援先の事例として、初めて会う患者さんに対しては「本日診察を担当する〇〇です。よろしくお願いいたします。」と必ず自己紹介をしてから診察に入ることを院内の診療方針にも明記しており、常勤医だけでなくスポット勤務医に対しても同じ対応を依頼しているクリニックもあります。また、よく言われることですが「画面を見ながらしか話をしない」も患者さんにとっては良い印象がありません。カルテ入力に忙しいのは分かるのですが、少なくとも最初と最後は患者さんに正対して、顔を見ながら話をして頂きたいですし、相手の話に対してあいずちを打つか打たないか、という些細なことも患者さんにとっては医師を信頼するかどうかの大事なポイントになりえます。また診察室で言い忘れたことがあれば、看護師に伝言を頼んで先生からのフォローとして伝えたり、大事なフォローであれば時間を置いてご自宅に電話する等、手間はかかりますが患者さん一人一人を大事にすることが再診の増加・定着につながります。

情報提供元:株式会社メディヴァ コンサルティング事業部
マネージャー 越路公雄(クリニック事業担当)

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