2022.04.26(最終更新日:2022.04.26

CTの活用と人材育成①

人材育成イメージ

コロナ禍で「働き方改革」と「デジタルシフト」が進む中、クリニックも生産性向上を積極的に進める時期がやってきています。この生産性向上の取り組みこそが、長年院長を苦しめてきたスタッフの採用、定着、教育の問題の解決に一筋の光を照らすのです。2回に渡り、ICTの活用と人材育成の関係について解説します。

人手不足と人の定着

人材育成イメージ

少子高齢化が進む我が国において、クリニックでは人手不足が深刻な問題になっています。長引くコロナ禍でその状況はますます厳しくなっているように感じます。
また、医療業界はそもそも女性が多い職場であり、結婚出産などによりスタッフの定着が難しくスタッフの入れ替わりがよく見られます。院長は、スタッフが離職するたびに採用活動をしており、常にスタッフの問題で頭を悩ませているのです。

働き方改革

OJTイメージ

少子高齢化を受けて政府は、2019年に「働き方改革」関連法を施行し、わが国の労働環境の改善を急ピッチに進めています。具体的な働き方改革の内容としては、残業の上限規制や有給休暇取得の推進、インターバルの確保など「環境整備」を雇用主に義務付けています。
また、労働環境整備と共に進められているのが、ICTを活用した「生産性向上」の取り組みです。今後、人手不足はますます深刻になり、働き方改革で勤務時間も短くなる中、少ない人数(時間)で高い生産性を実現することが求められており、「オートメーション化(自動化)」「タスクシフティング」に注目が集まっています。

クリニックのオートメーション化は遅れている?

さて、クリニックにおいて「オートメーション化」は進んでいるのでしょうか。クリニックは、他の分野に比べて大幅にオートメーション化が遅れているように感じます。オートメーション化どころか、それ以前の「業務の標準化」という部分もあまり進んでいないのではないでしょうか。
その理由として、クリニックは規模が小さくスタッフの数もそれほど多くなかったため、組織をシステマティックに回す必要がありませんでした。クリニックごとに過去の経験から生み出された独自ルールを、OJT(On Job Training)を通して、伝承して行く方法がとられてきました。そのため、標準化やオートメーション化が遅れたのではないかと考えられます。

コロナ禍で進むオートメーション化

現在、クリニックでは電子カルテや画像ファイリングなど、システム化が当たり前の時代となっています。これらは一般的にクリニックの業務の効率化を目的としています。今後は業務効率化から次のステージである、「生産性向上」に向けたシステムの導入が進むことが予想されれます。
現在の深刻な人手不足を乗り切るためには、ヒトを減らす必要があります。その動きは、コロナ禍の急速なデジタルシフトにより加速しています。
コロナ禍の2年間で積極的に導入されたのが「自動精算機」や「セルフレジ」「キャッシュレス」「Web問診」「Web予約」などです。これらのシステムは電子カルテと連動する周辺システムで、まさに、少ない人数で高いパフォーマンスをを生み出す「生産性向上」に資するシステムだと言えるでしょう。限られた人員で効率的に業務を回すために、ICTを活用するという考え方に変化しつつあるのです。

目的 効能
自動精算機・セルフレジ
キャッシュレス
精算業務の自動化 患者自らで精算業務を行い、現金のやり取りが減ることで人員削減が可能。レジの締め作業も効率化し残業時間の短縮も見込める。
Web問診 問診業務の自動化 紙の問診から電子問診にシフトすることで、カルテへの転記作業が削減。受付前に問診内容が分かることで、来院目的が事前に把握で生産性向上に寄与する。
Web予約 予約業務の自動化 Webから患者自らが予約業務が行うことで、電話等による予約業務が減り業務削減が図れる。ワクチンなどの予約が増えたため、急速に導入が進んだ。

医師の仕事をタスクシフティングする

一方、タスクシフティングによる「生産性向上」も進んでいます。
診療所において、院長は医師と経営者の2つの役割を担い、超多忙な毎日を送っています。院長が多くの業務を抱えていては、生産性向上の取り組みは進みません。まずは院長の業務を分解し、棚卸し、院長しかできない業務以外はスタッフにタスクシフティングすることを考えなければならないのです。
現在は、診療所でも医師のカルテ作成や書類作成業務をタスクシフトする「電子カルテのクラーク運用」の導入が進んでいます。医師の隣にクラークと呼ばれる医師をサポートするスタッフを配置し、電子カルテの代行入力や紹介状や診断書など、書類の下書きを行うことで、医師は診療に集中できる環境が整い、生産性向上が図れるのです。電子カルテは医師のみが操作する時代から、スタッフ全体で活用する時代に変わってきているのです。
開業医の悩みは、まさにいま「働き方改革」で議論されている内容と一致します。短時間で高い生産性を挙げることが、診療所が今後生き残るために必要なのです。これらの課題について、「システムをどのように活用して、どのように解決していくのか」を考える必要があるのです。次回は、システム化を進める上での人材育成について解説します。

タスクシフティング

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