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2022.06.27(最終更新日:2022.06.27

押さえておきたい新薬情報
基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合注射薬

電子カルテ運用イメージ

この記事は…
大学病院で医薬品情報を担当していた薬剤師が、年に4回承認される新薬のなかから話題の新薬をピックアップ。その特徴や作用機序、必ず押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。

2019年9月、国内初となる基礎インスリン(持効型溶解インスリンアナログ)とGLP-1受容体作動薬の配合注射薬のゾルトファイ配合注〔一般名:インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え)〕、2020年6月には、2剤目となるソリクア配合注〔一般名:インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/リキシセナチド〕が発売されました。

日本人は欧米人に比べて、インスリン分泌能が約半分で、分泌タイミングも遅いため、食後血糖値が上昇しやすい傾向があります。空腹時血糖が目標値を達成できても、食後血糖のコントロールが不十分で、HbA1cが目標値(7.0%未満)に達しない患者(かくれ高血糖)が3割強という報告もあります。基礎インスリンは、空腹時血糖を強力に下げますが、投与に伴う低血糖や体重増加の課題が残ります。GLP-1 受容体作動薬は、主に食後血糖を下げます。体重減少に寄与しますが、投与初期の胃腸障害が懸念されます。両剤を組み合わせることで、空腹時血糖と食後血糖を同時にコントロールし、HbA1c を改善することが期待されます。また、基礎インスリンによる低血糖や体重増加とGLP-1受容体作動薬による消化器症状を低減できます。

インスリン療法には、基礎インスリンと経口薬を併用するBOT(Basal Supported Oral Therapy)や超速効型インスリンを組み合わせた「強化インスリン療法」があります。基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬を併用するBPT(Basal supported post Prandial GLP-1 Therapy)は、その間に位置づけられます。ゾルトファイ配合注は、トレシーバ注(持効型溶解インスリン製剤)とビクトーザ皮下注(長時間作用型GLP-1受容体作動薬)、ソリクア配合注は、ランタス注(持効型溶解インスリン製剤)とリキスミア皮下注(短時間作用型GLP-1受容体作動薬)の組み合わせです。配合比率は固定されますが、1日1回の注射で済むので、患者負担は軽減されます。配合薬の用量単位は、インスリン製剤のような「単位」ではなく、「ドーズ」が使われます。

商品名 ゾルトファイ配合注フレックスタッチ ソリクア配合注ソロスター
一般名 インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/
リラグルチド(遺伝子組換え)
インスリン グラルギン(遺伝子組換え)/
リキシセナチド
会社名 ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 サノフィ株式会社
適応症 インスリン療法が適応となる2型糖尿病
用法・用量 初期は1日1回10ドーズ1日50ドーズを超えないこと 1日1回5~10ドーズから開始、日20ドーズを超えないこと。
朝食前に皮下注射する
投与タイミング 注射時刻は、原則として毎日一定とする
副作用 低血糖、消化器症状(胃の不快感、便秘、下痢) 吐き気、低血糖、腹部不快感、下痢
薬価 1キット5,121円 1キット5,727円

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

<用量単位:1ドーズ>

持効型溶解インスリン GLP-1受容体作動薬
ゾルトファイ配合注 トレシーバ注 1単位 ビクトーザ皮下注 0.036㎎
ソリクア配合注 ランタス注 1単位 リキスミア皮下注 1㎍

<持効型溶解インスリン製剤>

トレシーバ注(ノボ) インスリン デグルデク(遺伝子組換え)
ランタス注(サノフィ) インスリン グラルギン(遺伝子組換え)
レベミル注(ノボ) インスリン デテミル(遺伝子組換え)

<GLP-1受容体作動薬>

バイエッタ皮下注(アストラゼネカ) エキセナチド
ビクトーザ皮下注(ノボ) リラグルチド(遺伝子組換え)
リキスミア皮下注(サノフィ) リキシセナチド
ビデュリオン皮下注(アストラゼネカ) 持続性エキセナチド
トルリシティ皮下注(イーライリリー) デュラグルチド(遺伝子組換え)
オゼンピック皮下注(ノボ) セマグルチド(遺伝子組換え)
リベルサス錠(ノボ)

短:短時間作用型 長:長時間作用型

<持効型溶解インスリンと超速効型インスリンの混合製剤>

 
持効型溶解インスリン 超速効型インスリン
ライゾデグ配合注(ノボ) インスリン デグルデク(遺伝子組換え)トレシーバインスリン アスパルト(遺伝子組換え)ノボラピッド

情報提供元:浜田康次 一般社団法人日本コミュニティファーマシー協会理事

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