2022.05.12(最終更新日:2022.05.12

ICTの活用と人材育成②

人材育成イメージ

コロナ禍で「働き方改革」と「デジタルシフト」が進む中、クリニックも生産性向上を積極的に進める時期がやってきています。この生産性向上の取り組みこそが、長年院長を苦しめてきたスタッフの採用、定着、教育の問題の解決に一筋の光を照らすのです。今回は教育の視点からシステム化について解説します。

「システム化」はスタッフ教育の絶好のチャンスです。それはシステム化の流れが業務改善そのものであり、業務改善にクリニック全体で取り組むことでスタッフのレベルアップにつながるからです。

クリニックの業務効率を下げている理由

システム化による業務効率化を進めるためには、現在の問題点を把握することから始めます。医療機関で業務効率を下げている原因は、主に3点あります。
1つ目は「長時間労働・残業」が恒常化していることです。長時間労働・残業に対してスタッフが「やむを得ない・変わらない」と受け入れてしまっているのです。改善の視点としては、「同じ業務でもより短時間で終わらせる方法はないか」を常に考えることです。
2つ目は「属人性」です。業務が特定の個人に偏り、そのスタッフでなければできない業務が存在することです。これを長年放置することで、業務がブラックボックス化し、非効率になっていくのです。改善の視点は、個人のスキルに依存する業務を排除し、業務の偏りをなくすことです。特別な業務ではなく、誰でもできる業務に標準化するのです。
3つ目は「複雑な業務フロー」の存在です。業務はミスが起きるたびに修正し、再発しない仕組みを作ろうとします。この繰り返しによって、業務はどんどん複雑化し、無駄が増えていきます。改善の視点は、「これまでのやり方にこだわらない」ことです。クリニックの業務はOJTによって引き継がれていきます。お手本を見せてそれを真似る方法です。たとえ、マニュアルがあっても、それに書き足すことで伝承されていくため、根本的な見直しがなく進むのです。常に今のやり方が最善とは限らないと考えることが重要です。

医者とスタッフ

システム化による業務改善

システム化は、現在の業務を見直す機会をもたらします。業務改善のチャンスをもたらすのです。このせっかくのチャンスをスタッフを巻き込んで行うことで、業務効率化意識をもたらし、システム化の恩恵を自分事としてとらえることができるようになります。
システム化の順序は、以下の通りです。
① 業務の見える化
② 標準化と個々のスキルアップ
③ 業務の再配分(タスクシフティング)
④ 新業務フローの構築
⑤ デジタル・ツールの導入
この5つのステップは先に挙げた3つの問題点を解決することになります。長時間労働・残業、属人性、複雑な業務フローの解消に向かうのです。

医者とスタッフ

医師は受付スタッフの状況を把握しにくい

業務改善に着手するためには現状把握が重要です。しかし、医師は診察室のことは把握できますが、受付のことは把握しにくい状況にあります。受付と診察室が物理的に分かれているために、医師は受付スタッフの日ごろの業務を見ることが難しいのです。そのため、受付スタッフの業務内容の把握は、面談でヒアリングするか、看護師から聞くかといった間接的なものになりがちです。リアルタイムの把握ができないことで、受付スタッフの変化に気づくことが遅れてしまうのです。
スタッフの変化に気づくことは、クリニック経営においてとても大切です。日ごろから不満・不安はないか、業務が特定の人に偏っていないか、残業がなぜ起きているのかなどを、リアルタイムに知ることで不満の種を察知し摘み取ることが可能となるのです。

受付

クラーク業務と受付業務を兼務する

クリニックにおいて、電子カルテのクラーク運用は、受付業務とクラーク業務を兼務するケースが一般的です。一方で、病院のクラーク(医師事務作業補助者)は、診療報酬点数の算定要件の中で、受付とクラークの兼務を認めていないために見られないものです。クリニックでは、受付とクラークを兼務し、日ごとに行ったり来たりすることで、医師は受付スタッフの状況把握が可能となります。受付と診察室の物理的・精神的な壁が取り払われるのです。医師とクラークという立場に変わることで、診療チームとして同じフロアで業務を行い、コミュニケーション機会が増え、頻度が増えるのです。また、クラーク業務を医師が教えることで、先生と生徒の関係になり、上下関係がしっかりしていきます。

クラーク業務は受付業務にも好影響をもたらす

また、医師、看護師、クラークがチームとなって、診療に取り組むことで、受付スタッフは診療の流れを把握し、一体感が出てきます。クラークが受付の時の業務にも良い影響をもたらします。診察室でのクラークの経験が受付業務でも生かせるのです。 医師がどんな診療をしているか間近で体感することで、受付での簡単な問診業務にも生かせるのです。例えば、患者の訴えは何か、前回との変化はないか、残薬はないか、他のクリニックに受診していないかなど受付で把握しておくことで、診療がスムーズに進むことを知ることになるためです。受付スタッフの接遇レベルは飛躍的に向上します。プロセスの前後を把握することで、業務の意味が理解できるのです。これこそが何にも代えがたい教育と言えるでしょう。

クラーク業務の図

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